能登半島 地震観測 2024年12月

当センターが珠洲市に設置していた地震計の一つで記録した2024年1月1日の地震波形。この地震計は人間には感じない小さな揺れを記録するためのものだったため、地震時の大きな揺れで、すぐに波形が振り切れている。

当センターでは、2022年7月から能登半島にある珠洲市に、臨時で地震計を6カ所設置しておりました。
その後、2023年5月、2024年2月にメンテナンスを行ってきました。(設置メンテナンスの記事)
今回は12月2日から4日にかけて地震計の撤収作業を行いました。撤収といっても能登半島の地震活動の心配がなくなったというわけではなく、初期解析用のデータとしてはある程度蓄積され、一定の役割を果たしたということになります。現在はこの観測で取得されたデータの解析を行っているところです。
定常的な地震活動の監視としては、引き続き既存観測点でカバーされています。

小松空港でレンタカーを借りてから珠洲市まで約3時間。アクセスのし辛さも復興の妨げになっていると実感します。今年1月のマグニチュード7.6の地震から1年近く経過しましたが、まだ手付かずの被災場所も残されていました。ただ、元通りではないとはいえ、2月と比べると道路状況はだいぶ改善されていました。

地震計は、人があまり通らないような山の中にも設置していましたが、2月には崩れて通れなかった道も、車一台は通れるように整備されていました。

今年2月には通れなかったが、車一台は通れるようになっていた。
2月の写真。この時は歩いて地震計までアクセスした。

一方で、この地域は、地震のみならず、今年9月に豪雨災害にも見舞われました。この爪痕もまだ色濃く残されており、2月には通れた道が、通れなくなっている場所もありました。

2月には車で通れた道も豪雨による土砂崩れのため歩いてアクセス。
土砂崩れを超えた先は道路が崩壊しているも、地震計設置部分は奇跡的に無事だった。

能登半島での一連の地震活動に関しては、10月に行われた日本地震学会秋季大会でも特別セッションが開かれ、多くの研究発表がありました。能登半島特有の現象だけでなく、地震学の知見を深める研究成果が得られてきています。

現地で立ち寄ったお店の方々は明るく元気に話をされていましたが、ご自宅は地震や豪雨の被害を受けており、まだまだ生活にはご苦労されているとのことでした。