島根県吉賀町・木部谷間欠泉での地球物理学的観測から新たな知見

ポイント
- 島根県吉賀町にある木部谷(きべだに)間欠泉にて、傾斜・地電位などの地球物理観測を実施
- 地下のクラック状空間に炭酸(CO2)ガスが蓄積し、それが噴出を駆動する仕組みを提案
- 地下空間の変化と周辺の地下水の移動との関係を明らかに
概要
島根県吉賀町に位置する「木部谷間欠泉」は、1970年の温泉掘削作業中に出現した間欠泉です。現在では,約38分間隔で20~21℃の低温温泉水を噴出しています。その噴出は、地下からの炭酸ガスの圧力によって引き起こされていると考えられてきましたが、詳細なメカニズムはこれまで十分に解明されていませんでした。
本研究では、九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センターの田辺暖柊さん(現・気象庁)、相澤広記 准教授および松島健 教授らの研究グループが、2023年7月から8月にかけて木部谷間欠泉において、傾斜計、地電位計、映像、温度センサー、空振計を用いた多項目観測を実施しました。
傾斜データの解析により、地下約10~24mの深さにクラック状の空洞が存在し、この空洞に炭酸ガスが蓄積されることで間欠的な噴出が発生していることが示されました。さらに、地電位データの解析から、この地下空間が変形する際、周囲から地下水が流入していることが明らかとなりました。 このような地下水の移動は、火山で発生する水蒸気噴火の直前にも報告されており、間欠泉における地下水移動の理解が、火山の水蒸気噴火メカニズムの解明にもつながると期待されます。

本研究成果は英国の雑誌「Scientific Reports」に2025年5月31日(土)(日本時間)に掲載されました。
掲載誌:Scientific Reports
タイトル:Fluid flow of CO2-driven geyser activity as inferred from tilt and self-potential observations of the Kibedani Geyser Japan
著者名:Harutou Tanabe, Koki Aizawa, Takeshi Matsushima
DOI:10.1038/s41598-025-04215-w
謝辞
現地調査にあたっては、木部谷温泉 松乃湯の田原様に多大なご協力をいただきました。心より感謝申し上げます。本研究は JSPS 科研費 「傾斜変動と電場変動の同時観測による水蒸気噴火直前予測可能性の検討」(JP23H01275, JP23K25971)の助成を受けたものです。ここに記して、深く感謝の意を表します。
