霧島硫黄山では、2018年4月19日にごく小規模な水蒸気噴火が発生しました。その約2年前から地表に地熱活動が見られるようになり、噴火後にはその活動域が大きく拡大しました。本研究では、こうした噴火活動や地熱活動の変化に伴って地下構造がどのように変化したのかを調べるため、噴火前の2016年を中心に取得した電磁探査データと、噴火後の2024年に取得したデータを比較しました。
その結果、地熱活動が活発化した領域では、地表から深さ約200 mまでの浅部が、噴火後に、より電気を通しやすくなったことが明らかになりました。これは、高温の熱水が浅い地下水系に流入・混合したことを反映していると考えられ、地熱活動域の拡大の原因と推定されました。また、このような浅部の熱水活動は、硫黄山の歴史の中で繰り返し発生してきた可能性が示されました。
一方、噴火前から深さ約200~700 mに存在していた顕著な低比抵抗層(電気を通しやすい層)は、噴火後により「つりがね状」の形状へ変化し、その下部も低比抵抗化したことが推定されました。この低比抵抗層は、流体は通しにくい一方で電気は通しやすい粘土質の層と解釈され、水蒸気噴火の原因となる熱水や火山ガスを地下にため込む “蓋” の役割を果たしていると考えられます。
さらに、この層が「つりがね状」に変化し、その下部も低比抵抗化したことは、地下に熱水や火山ガスをより蓄積しやすい構造へ変化したことを意味している可能性があります。つまり、2018年の小規模な水蒸気噴火を経たことで、地下構造が、より大規模な水蒸気噴火を引き起こしやすい状態へ変化した可能性が示唆されました。
論文リンク

水蒸気噴火前後の比抵抗構造変化。噴火前と噴火後、同じ場所で電磁データを取得し、MT法により比抵抗構造を推定した。
