今回は，九州を飛び出し，島根県西部の吉賀町にある木部谷（きべだに）間欠泉で観測を実施しました．
付近には，清流・高津川が流れ，ここで獲れる「鮎」は名産品になっています．
この木部谷間欠泉は，噴出時に20～21℃程の低温の温泉水が噴き出す，全国的にも珍しい間欠泉です．
およそ38分の周期で温泉水が，最大で1.5m程噴出します．
当センターの，田辺君（M2）・相澤 准教授・松島 教授の研究グループは，2023年8月１日から18日にかけて，地電位・傾斜・空振・映像・温度による観測を実施しました．
特に，近年の地電位観測を用いた研究では，間欠泉噴出*と火山の水蒸気噴火**の類似性が示唆されています．
本研究は，この地電位変動から得られる地下水移動に着目し，間欠泉噴出における地下水移動の役割を解明し，水蒸気噴火の直前予測に応用することを目的としています．
謝辞
本観測では，間欠泉所有者の田原様に土地利用の許可など大変お世話になりました．また，本研究は科研費「JP23H01275」の支援を受けて実施されています．
参考文献
* Tanabe, H., Matsushima, T., Aizawa, K. et al. Multi-parametric observations of intermittent hydrothermal water discharge in West Crater of Iwo-Yama volcano, Kirishima Volcanic Complex, Japan. Earth Planets Space 75, 75 (2023). https://doi.org/10.1186/s40623-023-01830-7
** Aizawa, K., Muramatsu, D., Matsushima, T. et al. Phreatic volcanic eruption preceded by observable shallow groundwater flow at Iwo-Yama, Kirishima Volcanic Complex, Japan. Commun Earth Environ 3, 187 (2022). https://doi.org/10.1038/s43247-022-00515-5