平成13年6月11日10時00分
雲仙岳測候所発表
火山名:雲仙岳
1 概況
5月の雲仙岳の火山活動は、火山性地震が前月(17回)より減少し、全般的 に落ち着いた状態が続きました。
平成新山(溶岩ドーム)の現地観測でも溶岩ドームの噴気地帯の状況や形 状には、ほとんど変化は見られませんでした。
また、落石震動も観測されませんでした。 噴煙も少ない状態で、表面活動にほとんど変化は見られませんでした。 また、光波測量の結果にも大きな変化は見られませんでした。 6月に入ってからも、火山活動は落ち着いた状態です。
2 震動観測
5月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形及び落石震動 の発生回数は第1表のとおりです。
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上旬 |
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中旬 |
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下旬 |
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(1) 火山生地震
5月の火山性地震はA点で5回観測しました。これは、橘湾を震源とす る比較的深い地震(A型地震)が1回、平成新山の直下を震源とする比較 的浅い地震(B型地震)が4回でした。山体に最も近いE点では7回観測し ました。有感地震の発生はありませんでした。
6月に入ってからは、10日までに火山性地震を2回観測しています。
(2) 火山性微動
5月は、火山性微動は観測されませんでした。
6月に入ってからは、10日までに火山性微動は観測していません
(3) 落石震動
5月は、落石震動は観測されませんでした。
6月に入ってからは、10日までに落石震動を1回観測しています。
3 遠望観測
遠望カメラによる観測
5月の遠望観測による噴煙は、すべて白色少量の状態で経過しました。 なお噴煙の最高高度は50mでした。
6月に入ってからも、10日までに噴煙量等に特に変化はありません。
4 現地観測
ドーム観測
溶岩ドーム(平成新山)の現地観測を、5月25日に実施しました。 恐竜の背中状溶岩塊の形状及び観測地点の噴気量、臭気、温度の観測値は前 回(3月)と比べて特に大きな変化はありませんでした。
なお、溶岩ドームの最も高かった場所での温度は401度あり、依然高温を保 っていました。

5 地形変形観測
(1) 傾斜計による観測結果
5月は、傾斜変動は観測されませんでした。
6月に入っても10日までに、傾斜変動は観測されていません。
(2) 光波測量観測結果
気象庁と経済産業省産業技術総合研究所地質調査所で行っている光波測
量によると、普賢岳山体につけた反射鏡との斜距離は、4月とほとんど変 化はありませんでした。
また、九州大学との共同観測による、平成新山東側に設置している反射 鏡(D2)と仁田峠第2展望所観測定点(T6)との斜距離の観測結果に もほとんど変化ありませんでした。
5 その他
九州北部地方は6月5日頃梅雨入りしたとみられますので、大雨に伴う土 石流、落石等の発生に注意してください。