定期火山情報 第4号(2001)

平成13年4月10日10時00分
雲仙岳測候所発表

火山名:雲仙岳

1 概況

 3月の雲仙岳の火山活動は、火山性地震の発生は少なく、火山性微動も観測しましたが落ち着いた状態が続きました。火山性微動の発生は昨年12月以来ですが傾斜変動を伴わないものでした。
光波測量の結果では平成新山の形状にはほとんど変化は見られませんでした。また、落石震動も観測されませんでした。
 噴煙も少ない状態で前月と比べほとんど変化は見られませんでした。
4月に入ってからも火山性地震の発生は少なく、火山性微動を4日に1回観測していますが、火山活動は落ち着いた状態です。

2 震動観測

3月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。

第1表 3月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形、及び落石震動の旬別回数

火山性地震

火山性微動

火砕流波形

落石震動

A点

E点

A点

E点
 上旬

1

2

2

3

  0

0
 中旬

0

0

1

1

  0

0
 下旬

3

3

0

0

  0

0

月合計

4(0)

5(15)

3(0)

4(2)

  0(0)

0(3)
*A点(矢岳:普賢岳の南西3.6km) E点(薊谷:普賢岳の南西0.5km).(カッコ内は、前月の回数)
(1) 火山生地震

3月の火山性地震はA点で4回観測しました。これは、橘湾を震源とする比較的深い地震(A型地震)を3回、平成新山の直下を震源とする比較的浅い地震(B型地震)の1回でした。山体に最も近いE点では5回観測しました。有感地震の発生はありませんでした。
4月に入ってからは9日までに、火山性地震はA点及びE点で2回観測しています。

(2) 火山性微動

3月は、火山性微動を3回観測しました。これは、3月1日、2日、20日にそれぞれ1回観測しました。火山性微動の発生は昨年12月10日以来でした。また、山体に最も近いE点では4回観測しました。
4月に入ってからは、9日までに火山性微動をA点で1回,E点で3回観測しています。

(3) 落石震動

3月は、落石震動は観測されませんでした。4月に入ってからも、9日までに落石震動は観測されていません。

3 遠望観測

遠望カメラによる観測

3月の遠望観測による噴煙の状態は、すべて白色少量で変化はありませんでした。なお噴煙の最高高度は200mでした。
4月に入ってからも9日までに、噴煙量等に特に変化はありません。 

4 現地観測

ドーム観測

溶岩ドーム(平成新山)の現地観測を,3月21日に実施しました。恐竜の背中状溶岩塊の形状及び観測地点の噴気量、臭気、温度の観測値は前回(昨年12月)と比べて特に大きな変化はありませんでした。
なお、溶岩ドームの最も高かった場所での温度は400度以上あり、依然高温を保っていました。

5 地形変形観測

(1) 傾斜計による観測結果

3月は、傾斜変動は観測されませんでした。
4月に入っても9日までに、傾斜変動は観測されていません。。

(2) 光波測量観測結果

気象庁と経済産業省産業技術総合研究所地質調査所で行っている光波測量によると、普賢岳山体につけた反射鏡との斜距離は、先月とほとんど変化はありませんでした。
また、九州大学との共同観測による、平成新山東側に設置している反射鏡(D2)と仁田峠第2展望所観測定点(T6)との斜距離の観測結果にもほとんど変化ありませんでした。