定期火山情報 第3号(2002)

平成14年3月11日10時00分
雲仙岳測候所発表

火山名:雲仙岳

1 概況

 2月の雲仙岳の火山活動は、火山性地震の発生が6回(前月4回)と少なく、火山性微動の発生もなく落ち着いた状態が続きました。
噴煙も少ない状態で、表面活動に異常は認められませんでした。平成新山(溶岩ドーム)の形状にはほとんど変化は見られませんでした。なお、落石震動を4回観測しました。また、温泉観測の結果にもほとんど変化は見られませんでした。
 3月に入ってからも、火山活動は落ち着いた状態です。

2 震動観測

2月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形及び落石震動の発生回数は第1表のとおりです。

第1表 2月の火山性地震、火山性微動、火砕流と思われる震動波形、及び落石震動の旬別回数

火山性地震

火山性微動

火砕流波形

落石震動

A点

E点

A点

E点
 上旬

3

3

0

0

  0

1
 中旬

2

2

0

0

  0

0
 下旬

1

2

0

0

  0

3

月合計

6(4)

7(5)

0(0)

0(0)

  0(0)

4(1)
*A点(矢岳:普賢岳の南西3.6km) E点(薊谷:普賢岳の南西0.5km)。(カッコ内は、前月の回数)
(1) 火山性地震

 2月の火山性地震はA点で6回観測しました。これは、橘湾を震源とする比較的深い地震(A型地震)が4回で、平成新山の直下を震源とする比較的浅い地震(B型地震)が2回でした。山体に最も近いE点では7回観測しました。有感地震の発生はありませんでした。
 3月に入ってからは、10日までに火山性地震は1回観測されています。

(2) 火山性微動

2月は、火山性微動は観測されませんでした。
3月に入ってからは、10日までに火山性微動は観測されていません。

(3) 落石震動

2月は、落石震動は4回観測されました。
3月に入ってからは、10日までに落石震動は6回観測されています。

3 遠 望 観 測

遠望カメラによる観測

2月の遠望観測による噴煙はすべて白色少量で、噴煙の高さは10~50mの状態で推移しました。
3月に入ってからも、10日までに噴煙量等に特に変化はありません。 

4 現 地 観 測

雲仙地獄、小浜温泉の現地観測を2月8日に実施しました。
観測値に前回(12月14日)と比べて大きな変化はありませんでした。
なお、大叫喚地獄で噴気口の廻りに泥噴の跡がみられました。
観測結果を第2表に示す。

第2表 雲仙地獄、小浜温泉の観測結果
 

噴気温(℃)

地温(℃)

泉温(℃)

ph

小地獄

96.1

97.0

74.3

1.7

大叫喚地獄

97.0

97.9

95.3

1.4

清七地獄

97.0

98.6

97.1

2.1

小浜温泉

98.6

8.2

5 地 形 変 形 観 測

傾斜計による観測結果

2月は、傾斜変動は観測されませんでした。
3月に入っても10日までに、傾斜変動は観測されていません。

6 お知らせ

 これまで同測候所が毎月10日頃に発表していた定期火山情報は、今回で終了します。
4月からは福岡管区気象台地震火山課火山監視・情報センターが火山活動状況を火山解説資料とし
て毎月第5執務日(月初めから土、日、祝日及び1月1日、2日、3日を除いた5番目の日になります。例:4月は5日、5月は9日)に公表します。